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連載:リーパーすみこ先生に聞く、アメリカの教育事情

アルファベットを視覚的にグループ分けして学ぶライティング

リーパーすみこ先生プロフィール
アイオワ州立大学大学院ジャーナリズム学部修士課程卒業。アルバカーキー市の公立小学校で図書館司書として20年勤務。現在も、読み聞かせ活動を行なっている。
著書:『ライブラリアン奮闘記』(径書房)、『えほんで楽しむ英語の世界』(一声社)『アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている』『アメリカの小学校では絵本で英語を教えている』(径書房)『アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方』(コスモピア)『アメリカの幼稚園ではこうやって英語を教えている』(径書房)『年齢なんて単なる数字よ!』(Amazonペーパーバック)。

私がお手伝いしていた学校の幼稚園の生徒たちは、文字の書き方を教える時には、文字を視覚的なグループに分け、そこからライティングに入っていきました。では、視覚的にアルファベットを分けるとはどう言うことかを説明させていただきます。これはファンダメンタルという教育法です。

まず、アルファベットを4つのグループにわけます:

グループ1は天まで届くのっぽさん達 (Sky Line Letter):tbflhk

グループ2は飛行機さん達 (Plane Line Letters) :nmiurpj

グループ3は猫背君達 (Plane Line Round Letters):coagdsq, 特別なe

グループ4は滑り台君達(Plane Lime Sliding Letters):vwyxz





文字の説明に入る前に上記の写真の左側の絵に注目してください。それぞれのアルファベットをどの線の上に書いたら良いかを絵で指示しています。

アルファベットの文字の視覚的特徴を捉えて、グループに分けています。そしてグループごとにアルファベットのライティングを習います。

虫が這っているWorm lineに属するg,p,qなどを除いては、全部下から2番目の線、grass lineと呼ばれる草のラインで止まります。



1)のっぽ君達は「t, b, f, l, h, k」

「t, b, f, l, h, k」に共通している点は何だと思いますか?

上記の文字をよく見てください。これらの文字は全て、背が高く「skyline letter」(空まで届く文字)と呼ばれているのっぽさんです。どの文字も一番上の線まで、届いています。

書き方の練習ですが、音にも注目してください。

音 口の開け方

t 上の歯茎に舌を当て、軽く「トッ」と言う

b ブッと口を破裂させます。おならのブッと言ったら、わかりやすいのですが。。。

f 下唇を前歯で噛んで「フッ」と言ってみましょう

l 舌を上の前歯につけて「ルッ」と言ってください

h ハ−ハ−と息をするように「ハー」と言ってください

k 喉の奥から力をいれて「クッ」

これら、のっぽ君たちの特徴は全部1番上の空の線まで届くことです。そしてGrass lineと呼ばれる下から2番目の線で止まります。発音は、口先を使い息を吐き出すことです。



2) 飛行機の線まで飛ぶのは「n m i r u p j」

これらの文字たちの背は、のっぽではありませんが、のっぽくん達の下の線、飛行機線まで伸ばします。発音は、口を閉じたり、突き出したり、横に開いたり、口を忙しく意識した発音です。草の絵が描かれているGrass lineまできたら、ストップです。

音 口の開け方

m 口を閉じて「ム」。

n 口を少し開けて、舌を前歯につけ、「ンヌ」。

i 「イ」を短く。Animalは、アニマルではなく、むしろ、「 ヌマル」と   いう感じでiはごく軽く発音。

r 口を少し尖らせて、舌をどこにもつけずに「ルッ」。(lとの違いに注目)

u 「ア]。くちをうごかさないで、「ア」。日本語のアに近い。

P プッと口を破裂させます。吹き出して笑うように、プッ。

j フライパンで肉を焼くときにジュと出る音に近いです。



3)特徴は猫背風の文字たち「c,a ,o, d,s q」

「丸まっちいクンとか猫背くん」などとあだ名をつけると、生徒たちにとってもピンとくるようです。これらのアルファベット達は、どこかに丸みあり、緩やかな線で出来ていますね。そこを強調しています。

音 口の開け方

c のどの奥でクッ。 kとcはほとんど同じ。

(cは、kと同じように喉の奥から力をいれて「クッ」。

race, riceなどの時には、「c」は「ス」と発音します。)

a 「あ」と「え」を一緒にして、つぶしたような。

o 大きく口を開けて、「オ」。

d 前歯のうしろに舌をつけて「ドッ」と破裂させます。

s 「ス」。「スースーするわ」なんて言う時の「ス」 です。

q 口をとんがらせて、「クゥ」。

q以外は皆草の線で止まります。



4) どこか、角ばってる文字達。上はやっぱり飛行機線までの「v,w,z,y,x」。滑り台になってくれるような文字達です。 音の出し方は、どれも口先、唇を使っていますね。

音 口の開け方

v 下唇を上前歯でかみ「ヴイ」。

w 口をつぼめて「ウ」。

z 「ズ」。

y 「イヤ」。ヤを強めに。

x 「クス」

先生から空中で書き方と発音の説明を聞いたあと、生徒達は机にもどって書く練習です。生徒たちは写真にあるような大きな紙の上でアルファベットの書き方を練習することもあります



上記の3本線が全国的には使われています。

大文字はキャピタル レター(capital letter)。小文字はスモール レター(small case letter)と呼ぶことも習い、大文字と小文字を同時に書く練習をします。

まず、文字を見たら、音を出してみる、そして文字を指でなぞり、それから自分で書きます。

この学校でも、教室にアルファベット記号が貼ってあります。私が読み聞かせに行っていた幼稚園の一人一人の机には、アルファベットの記号とその記号で始まる絵が机の上に貼ってありました。

ここでも、音を強調していることがわかります。

アルファベットの記号とフォニックスの音をしょっちゅう見比べています。ですから、生徒達は、アルファベットの順番は、よく知っています。

Hhならハッと息を吹いてhatのハッ、Iならitchy(かゆい)のiだと言うように絵と文字を見比べて発音していました。

写真はある生徒の机の上に貼ってある、アルファベットとその下にはどんな音を出すかのイラストの写真を撮らせてもらいました。

その他、B、bを練習しているときには、Baa baa black sheepを歌いながら、Bbが入っている箇所を丸でかこってもらうなどの楽しいお勉強もします。

Baa, baa, black sheep, have you any wool?

Yes sir, yes sir tree bags full!

One for the thee master

One for the little boy

Who lives down the lane

とこんな調子です。

こうして幼稚園の生徒達は、毎朝絨毯が引いてある床に座って、先生の前で音を声に出して練習。そして机に戻って書く練習をします。私は月に何回か読み聞かせに行きましたが、私の読み聞かせは、先生のリーディングについての説明の後でした。生徒達はやれやれと言う表情で楽しそうに読み聞かせに聞き入っていました。

私も子供たちのお手伝い。