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連載:宮下いづみ先生に聞く英語の始め方【第2回】

音声素材の活用法と
本を読んだ後の語りかけ

宮下いづみ先生プロフィール
Eunice English Tutorial主宰、武蔵野大学、明治大学、実践女子大学非常勤講師。幼児から社会人まで幅広い年齢層に英語を教えて40年ほどになる。著書『音のある英語絵本ガイド』(共著:コスモピア)、『ドラえもん はじめての英語辞典』(共著:小学館)『ドラえもんはじめての英会話辞典』『ドラえもんはじめての英語図鑑』(いずれも単著:小学館)など。日本経済新聞に『おもてなし会話術』を連載中。

本にCDが付属していたり、ダウンロードできたりする音声素材はどのように使えばよいでしょうか。

 初めて英語を学び始めるときは、できるだけ音声を聞きながら読むことをおすすめします。そのほうが自然な形で読めるからです。音を聞きながら読んだほうが、お話が目の前に広がっているような状況を自然に英語で過ごす環境を作り出すことができるのです。
 しばらくして、お子さんにお気に入りの本が出てきて、何度も何度も聞いたり読んだりしているような場合には、たとえば音声だけを聞いてお子様がご自分で繰り返して練習してみるとか、本の文章だけを見て自分で言えるかなとか、発展的に使えます。しかし、特に初めての段階では音声を聞きながら読むことをおすすめします。

本を読んだ後にやることにはどんなことがあるでしょうか。

 親と子で本を読まれている場合には、「誰が出てきましたか?」とか「何をしましたか?」というような内容チェックをするよりも、アクティビティと言えるほどではありませんが、たとえば動物が出てくるお話だったら、「動物園に行きたいね」とか、アイスクリームが出てくるお話であれば「アイスクリームが食べたいね」などと、話の内容から話題を広げていくように語りかけるほうが、お子さんは好きみたいですね。
 お子さんが小さい場合には、本の主人公の名前をお子さんのお名前に変えて読んでみるのも、お子さんは好きなようですね。たとえば、I am Sam.「ボクはサム。」であれば、I am...「私は~」と...をお子様のお名前に変えてみると楽しく読めます。語りかけるのは英語でも日本語でもいいですよ。 あと誰でもできるようなことと言えば、一番好きなページを開いてもらって、I like this page. とか、I like...「私は~が好き」と言ってもらったり、Can you find...?「~が見つけられる?」と聞いてみてもよいですね。

何歳くらいからひとりで読めるようになるのでしょうか。

 当教室には小学生は1年生から6年生まで在籍していますが、おもしろいことに学年の低い子たちが、「大きい子が読めるのに自分が読めないなんて」と対抗心を抱くのか、早めにオンライン読書が自分でできるようになっていました。5、6年生のほうが「完璧にできないとできるとは言えない」とか、できないことに対する恐怖というか、「ちゃんとできないといけない」という感覚があるので、お手伝いが必要でした。 小さい子たちのほうが、ちゃんと読めているかどうかは別にして、いろんなことを気にしないのでひとり立ちが早いのですね。一方、5、6年生はいったんできれば完璧にできている、というような傾向がありますね。
 最近、コロナの影響からオンラインで読むことが多いのですが、ご家庭の方針によって、一定時間以外はパソコンとかタブレットを自由に触らせないというご家庭もありますが、だいたい2、3カ月もするとひとりでできるようになります。使い方をご家庭で決めて進めていくとよいですね。

なるほど。いちおう読んだとは言っても、子どもが内容を理解できているかどうかは気になるところです。理解しているかを自然に確認するコツはありますか。

 おうちでは日本語で声をかけてもよいと思うんですね。無理に英語でやろうとするとお互いに楽しくなくなってしまい不自然になります。
 おうちの場合、5W1Hをチェックするというよりは、「どのページが一番好きだった?」「好きじゃなかった?」とか、あなたが「このブタちゃんだったらどうする?」とか、「この○○はかわいそうだったわね」というような感想をシェアすることで考える力を養えます。
 単にものを指してWhat’s this?と言って何かの名前を英語で言ってもらうよりも、「このあと、このおうちではどうなったんだろうね」とか、いろいろ考えられる可能性を話すのもよいでしょう。
 自分の中で英語が身についてわかるようになったことを自覚することによって、お子さんがよろこびを感じるのが重要です。それには、両親のお声かけが効果的です。子どもに対し「読まないの?」ではなく「今日は何読むの?」「私も読みたいからお薦めの本はなに?」みたいな感じでの声をかけるといいのではないでしょうか。放っておくのはうまくいかないこともあります。
 ノートに日記のように、絵本のタイトルとおもしろかったかどうかの感想を書くといいのではないかと思います。色鉛筆を使ったり、絵で感想を表しても楽しいです。
 お子さんの様子を見ていると、ちょっとつまらなさそうだなあとか、「もっと読んで、もっと読んで」という反応をしてくるので、チェックをしなくても理解しているかどうかは、基本的にわかると思いますよ。