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連載:宮下いづみ先生に聞く英語の始め方【第3回】

「単語がわかる」から「文がわかる」への
移行と子どもにあった本の見つけ方

宮下いづみ先生プロフィール
Eunice English Tutorial主宰、武蔵野大学、明治大学、実践女子大学非常勤講師。幼児から社会人まで幅広い年齢層に英語を教えて40年ほどになる。著書『音のある英語絵本ガイド』(共著:コスモピア)、『ドラえもん はじめての英語辞典』(共著:小学館)『ドラえもんはじめての英会話辞典』『ドラえもんはじめての英語図鑑』(いずれも単著:小学館)など。日本経済新聞に『おもてなし会話術』を連載中。

単語がある程度わかるようになってきたお子さんたちが、文を読めるようになるプロセスはどういったものでしょうか。どのようにしてうながしていけばよいですか?

単語数で言えば、1文が5語か6語くらいの短いものを何度も何度も繰り返し読むことですね。覚えてしまうくらい繰り返すのがいいかなと思います。さあ、覚えましょ、といって覚えなきゃいけないというのではなく、覚えてしまうくらい聞いて読むということを何度も何度も繰り返すのです。

センテンスを覚えるにはセンテンスの意味がわからなければならないじゃないですか。たとえばI like bananas.というような文があったとします。bananaが好きなのね、とわかるシチュエーションの絵と文と音声を繰り返し見たり聞いたりしていると、bananasをorangesと入れ替えると「オレンジが好き」だということがわかる。

このように絵を見ながら、基本形をまるごと覚えると単語を入れ替えても意味がわかるようになります。そのように覚えてしまうのが、小学生だったら強みですね。歌を覚えるように何度も英文を聞き、ふっと口ずさんでしまうくらい覚えてしまうのがよいと思います。

本にはフィクション、ノンフィクションがあります。いろいろな分野の本に触れると、知識も深まり、考えも広がっていきます。好きなタイプのもので、読むのを進める一方で、時にはちょっと違うものも進めてみるという工夫もよいでしょう。

お子さんにもいろいろな段階のお子さんがいると思いますが、子どものレベルにあった本はどのように見つければよいでしょうか?

レベルというのは2種類あって、検定試験のようにレベルを適切にはかるものもありますが、お子さんの場合は、例えば、虫が出てくるのはどうも苦手とか、乗り物だったら大好きとか、やはり得手不得手があるんですね。単語が並んでいる段階ではあまり変わらなくても、ストーリーラインが好きか嫌いかで理解度が大きく変わってくるんです。お子さんが「長いなあ」とか「つまらないなあ」とか思ったときにはレベルがあっていないとも言えます。しかし、その同じ英語のレベルのものが全部読めないわけではありません。

1ページにかならず1個はわからない単語が出てきたら、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、絵を見たらすぐにわかる単語で、1、2回読めばわかるというのであれば、そのレベルは少し大変かもしれませんがクリアできるレベルの目安かな、と思います。

3、4年生くらいの年頃になるとわからないものが出てきたときに、どうしてもわかならいとすごく考えてしまいます。そして自主的に辞書を引きたいと思う子もいて、どんどん引いて、どんどん覚えて、わかるようになってくる。本人がわからないと読まなくなってしまうし、読みたがらなくなってしまうこともあるので注意が必要です。どんどんどんどんレベルアップして、読み進めたくなるお子さんが年齢の低い方にはいらっしゃいますが、そうそうすぐにレベルがグーッと上がっていくわけではないのです。

同じレベルでいっぱい楽しみながら何度も繰り返し、単語もわかり読みなれてきたら次のステップに進むのがおすすめです。何度も繰り返すことができるというのが、そのお子さんに合っているレベル、適切なレベルであるということです。